
「婚姻届の証人はいらなくなったらしい」「今は証人欄を空欄で提出できる」「制度が変わって証人2人を探さなくてもよくなった」といった話を聞いたことはありませんか。結論からいうと、2026年9月現在、日本の方式によって婚姻を成立させる通常の婚姻届では、成年の証人2名が必要です。証人制度そのものが廃止されたわけではなく、原則として証人欄を空欄のまま提出することもできません。ただし、外国の方式ですでに婚姻が成立している場合など、証人欄が不要となるケースはあります。この記事では、「婚姻届の証人はいらない」という噂がなぜ生まれたのか、現在の法律、証人欄を空欄にした場合、例外的に証人が不要となるケースまで詳しく解説します。
結論|婚姻届の証人がいらなくなったという噂は本当?
結論として、「婚姻届の証人制度が廃止され、誰でも証人欄を空欄にして提出できるようになった」という情報は、2026年9月現在の通常の婚姻届については正しくありません。
法務省の現在の婚姻届案内では、婚姻届書には成年の証人2名の署名が必要と明記されています。
大阪市、横浜市、東京都北区などの自治体の最新案内でも、婚姻届について成人または成年の証人2名による証人欄への記入・署名が必要とされています。
- 通常の日本方式の婚姻届では、成年の証人2名が必要です。
- 証人欄を2名とも空欄にしてよい制度にはなっていません。
- 証人の押印は任意ですが、署名まで不要になったわけではありません。
- 2024年3月から戸籍謄本等の添付が原則不要になりましたが、証人制度とは別の改正です。
- 外国の方式ですでに婚姻が成立している場合などには例外があります。
インターネットやSNSで「婚姻届の証人が不要になった」と見かけた場合には、その情報が通常の日本方式の婚姻届について説明しているのか、それとも海外ですでに成立した婚姻の届出について説明しているのかを確認する必要があります。
婚姻届に証人2名が必要な法律上の根拠
婚姻届の証人は、自治体が独自に決めているものではありません。法律上の根拠があります。
民法第739条第1項では、婚姻は戸籍法の定めに従って届け出ることによって効力が生じるとされています。
さらに同条第2項では、その届出について、当事者双方および成年の証人2人以上が署名した書面等によって行うことが定められています。
つまり、通常の日本方式によって婚姻を成立させる場合には、単に婚姻届の様式上に証人欄が設けられているだけではなく、民法上も成年の証人2名が予定されています。
法務省の婚姻届に関する現在の案内でも、手続根拠として「民法第739条、戸籍法第74条」を挙げたうえで、婚姻届書には成年の証人2名の署名が必要であるとしています。
| 項目 | 現在の取扱い |
|---|---|
| 証人の人数 | 原則として成年2名 |
| 証人の署名 | 必要 |
| 証人の押印 | 任意 |
| 証人が親族であること | 不要 |
| 証人欄を空欄にすること | 通常の日本方式の婚姻では不可 |
証人欄を空欄のまま婚姻届を提出できる?
通常の日本方式によって婚姻を成立させる婚姻届の場合、証人欄を空欄にしたまま提出することを前提にはできません。
横浜市は現在の婚姻届の案内で「証人2人の記載が必要」と明記しています。大阪市も、婚姻届の証人として成人2名による証人欄への記入および署名が必要としています。
そのため、例えば次のような状態であれば、提出前に証人欄を完成させる必要があります。
- 証人2名とも完全に空欄になっている
- 証人が1名しか記入されていない
- 証人の氏名だけ書かれているが、必要事項が不足している
- 証人本人による署名がされていない
休日・夜間に婚姻届を提出する場合、その場ですぐ詳細な審査が行われず、後日開庁時間内に内容が確認されることがあります。不備があると連絡や補正が必要になる可能性があります。希望する日を婚姻日としたい場合は、提出前に自治体で事前確認を受けておくと安心です。
なぜ「証人はいらない」という噂が出ているの?
「婚姻届の証人がいらなくなった」という情報が出回る理由として、複数の制度が混同されている可能性があります。
理由1|証人の「押印」が任意になった
現在、婚姻届について届出人および証人の押印は任意です。
以前の婚姻届では印鑑を押すイメージが強かったため、押印が不要になったことを「証人自体が不要になった」と誤解している可能性があります。
しかし、押印が任意になったことと、証人本人の署名が不要になったことは別です。
理由2|戸籍謄本の添付が原則不要になった
2024年3月1日から、戸籍法改正による戸籍証明書等の広域交付などの制度が始まり、本籍地ではない市区町村へ婚姻届を提出する場合でも、戸籍謄本等の添付が原則不要になりました。
以前は「婚姻届+戸籍謄本が必要」とされるケースがありましたが、この戸籍謄本の添付が不要になったことを、証人欄まで不要になったと誤解している可能性があります。
戸籍謄本等の添付が原則不要になったことと、証人2名の署名が必要であることは別のルールです。
現在の法務省の案内でも、戸籍証明書等の添付が原則不要となった一方、婚姻届には成年の証人2名の署名が必要とされています。
理由3|証人欄が不要な婚姻届も実際に存在する
もう一つ重要なのが、婚姻届であればすべて同じ取扱いではないことです。
外国の法律・方式に従ってすでに婚姻が成立しており、その婚姻を日本の戸籍へ反映させるために婚姻届を提出するケースでは、証人欄が不要とされる場合があります。
この情報だけが切り取られて、「現在は婚姻届の証人はいらない」と広まっている可能性があります。
例外|証人欄が不要になる婚姻届もある
「婚姻届の証人は絶対に、どのような場合でも必要」という説明も正確ではありません。
一般的な日本人同士の婚姻など、婚姻届を提出することによって婚姻を成立させる場合には証人2名が必要です。
一方、外国の方式によりすでに法的に婚姻が成立していて、日本側ではその事実を戸籍へ報告するために婚姻届を提出する場合には、取扱いが異なります。
| ケース | 証人 |
|---|---|
| 日本の方式で婚姻届を提出して婚姻を成立させる | 原則として成年2名が必要 |
| 外国の方式ですでに婚姻が成立し、その事実を日本へ届け出る | 証人欄が不要となる場合がある |
そのため、インターネットで「証人なしでも婚姻届を出せた」という体験談を見ても、その人と自分が同じ手続とは限りません。
海外で結婚した場合は証人が不要になることがある
千葉市では、通常の婚姻届について届出人以外の成年2名による署名が必要と案内する一方、外国で成立した婚姻について届け出る場合は証人が必要ないと明記しています。
大田区でも、海外で婚姻した場合について、婚姻届書には結婚相手の署名と証人の記載が不要と案内しています。
これは、外国の方式によって婚姻自体がすでに成立しており、日本への婚姻届が婚姻を新たに成立させる届出ではなく、その婚姻を日本の戸籍へ反映させるための届出となるためです。
国際結婚や海外での婚姻は、婚姻した国、配偶者の国籍、どの方式で婚姻を成立させるかなどによって必要書類や手続が異なります。「海外に住んでいるから証人不要」と自己判断せず、提出先の市区町村や日本大使館・領事館へ確認してください。
「印鑑不要」と「証人不要」はまったく違う
現在の婚姻届では、証人の押印は任意です。
この点は特に誤解されやすいため、整理しておきましょう。
| 内容 | 必要性 |
|---|---|
| 証人2名 | 通常の婚姻届では必要 |
| 証人本人の署名 | 必要 |
| 証人の押印 | 任意 |
つまり、証人に印鑑を用意してもらわなくてもよくなったとしても、証人本人に署名してもらう必要は残っています。
「ハンコがいらなくなった=証人欄を書かなくていい」と考えないようにしてください。
戸籍謄本の添付不要とも混同しない
2024年3月1日以降、本籍地以外の市区町村へ戸籍の届出を行う場合でも、提出先の市区町村が本籍地の戸籍情報を確認できる仕組みが整備され、婚姻届などに戸籍証明書等を添付することが原則不要となりました。
この変更は、婚姻届を提出する方にとって大きな負担軽減となりました。
ただし、廃止されたのは原則として「戸籍謄本等を一緒に提出する必要」であり、婚姻届の証人制度ではありません。
- 戸籍謄本等の添付 → 原則不要になった
- 証人の押印 → 任意になった
- 証人2名の署名 → 現在も通常の婚姻届では必要
婚姻届の証人になれる人の条件
証人が必要だと分かっても、「誰にお願いすればよいのか」と悩む方もいるでしょう。
婚姻届の証人は、父母に限定されていません。広島市では、婚姻の意思があることを知っている当事者以外の成年者2名であればよく、両親、兄弟、外国人の方も可能と案内しています。
18歳以上の成年者
現在の成年年齢は18歳です。そのため、要件を満たす18歳以上の方であれば証人候補となります。
両親でなくてもよい
証人としてよく選ばれるのは両家の父母ですが、法律上「新郎側の父1人、新婦側の父1人」などと決まっているわけではありません。
兄弟姉妹、祖父母、友人、知人、職場の同僚や上司などにお願いすることもできます。
婚姻する2人以外の人物
婚姻する当事者自身が証人になることはできません。夫になる人、妻になる人とは別に成年の証人2名が必要です。
婚姻意思を知っている人
証人は単に人数を埋めるための存在ではありません。広島市は、婚姻の証人について、当事者に婚姻の意思があることを知っている方であることを案内しています。
証人が1人しか見つからない場合は?
「親に1人お願いできたけれど、もう1人が見つからない」というケースもあります。
通常の日本方式による婚姻届では、証人が1名だけでは足りません。証人2名分の記載・署名が必要です。
ただし、2名とも親族である必要はありません。
例えば次のような組み合わせでも構いません。
- 父+友人
- 母+兄
- 姉+友人
- 友人+職場の同僚
- 夫側の親族2名
- 妻側の親族2名
「両家から1人ずつ出さなければならない」という決まりもありません。
証人を頼める人がいない場合の方法
法律上は親族以外にも頼めるとはいえ、実際には証人探しに困る方もいます。
例えば、次のような事情があります。
- 両親や家族と疎遠である
- 周囲に結婚をまだ知らせたくない
- 友人に婚姻届を見せたくない
- 証人に住所や本籍を書いてもらうことに抵抗がある
- 急いで婚姻届を提出したい
- 証人があと1名だけ見つからない
このような場合、証人欄を空欄にして提出するのではなく、要件を満たす別の人を探すか、証人代行サービスを利用する方法があります。
当事務所では、婚姻する双方の意思等を確認したうえで、婚姻届の証人1名または2名の証人代行に対応しています。
婚姻届の証人代行料金
すでに証人が1名決まっている場合は1名のみ、証人がまったく見つからない場合は2名の依頼が可能です。
3,430円
5,430円
+1,000円
なお、証人代行を利用することによって婚姻届そのものの受理を保証するものではありません。婚姻届全体の記載内容、国籍、婚姻歴などによって追加書類や確認が必要となる場合があります。
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婚姻届の証人についてよくある質問
Q2026年現在、婚姻届の証人はいらなくなったのですか?
いいえ。通常の日本方式によって婚姻を成立させる婚姻届では、現在も成年の証人2名の署名が必要です。法務省の現在の案内にも明記されています。
Q婚姻届の証人欄を空欄のまま提出できますか?
通常の婚姻届では証人2名の記載・署名が必要です。証人欄を空欄にしたまま提出することを前提にはできません。
Q証人を1人だけ書けば婚姻届は受理されますか?
通常の日本方式による婚姻では、成年の証人2名が必要です。1名だけでは必要な人数を満たしません。
Q婚姻届の証人の印鑑はいらないのですか?
現在、押印は任意です。ただし、証人本人の署名まで不要になったわけではありません。「印鑑不要」と「証人不要」は別です。
Q戸籍謄本が不要になったので、証人も不要になったのでは?
違います。2024年3月1日から戸籍届出時の戸籍証明書等の添付が原則不要となりましたが、証人制度とは別の話です。現在も通常の婚姻届には成年の証人2名の署名が必要です。
Q海外で結婚した場合も証人2名が必要ですか?
外国の方式ですでに婚姻が成立し、その婚姻を日本へ届け出るケースでは、証人欄が不要となる場合があります。具体的な必要書類は国や婚姻方法によって異なるため、市区町村や在外公館へ確認してください。
Q両親を証人にしなくてもいいですか?
はい。証人は両親に限定されていません。成年で、婚姻する2人に婚姻意思があることを知っている当事者以外の方であれば、兄弟姉妹、友人、知人なども候補になります。
Q証人2人は両家から1人ずつ必要ですか?
その必要はありません。一方の両親2名、友人2名、親族1名と友人1名などでも要件を満たせば問題ありません。
Q18歳の人でも婚姻届の証人になれますか?
日本の成年年齢は18歳です。18歳以上でその他の要件を満たしていれば、証人になることができます。
Q証人が見つからない場合、役所の職員にお願いできますか?
役所へ婚姻届を持っていけば職員が当然に証人になってくれるという制度ではありません。証人は提出前に確保しておく必要があります。頼める人がいない場合には、別の成年者を探すか証人代行などを検討する方法があります。
Q証人なしで役所へ持って行けば、その場で何とかしてもらえますか?
通常の婚姻届には証人2名が必要です。希望する日に確実に提出したい場合は、証人欄を含めて事前に記載を完成させ、不明点があれば提出先の市区町村へ事前確認することをおすすめします。
Q今後、証人制度が廃止される予定はありますか?
少なくとも2026年9月現在の法務省の婚姻届案内および現行制度では、通常の婚姻届に成年の証人2名の署名が必要とされています。将来法改正が行われる可能性まで否定することはできないため、実際に提出するときは法務省または提出先自治体の最新情報を確認してください。
まとめ|通常の婚姻届は現在も証人2名が必要
「婚姻届の証人はいらない」「証人欄は空欄でも大丈夫」という情報を見かけることがありますが、2026年9月現在、日本の方式によって婚姻届を提出して婚姻を成立させる通常のケースでは、成年の証人2名の署名が必要です。
証人制度そのものが廃止されたわけではありません。
- 通常の婚姻届では成年の証人2名が必要です。
- 証人欄を空欄化できる制度にはなっていません。
- 証人の押印は任意ですが、署名は必要です。
- 2024年3月から戸籍謄本等の添付が原則不要になりましたが、証人とは別の制度です。
- 外国の方式ですでに婚姻が成立している場合は、証人欄が不要となるケースがあります。
証人が見つからない場合も、証人欄を空欄にして提出するのではなく、要件を満たす方へ依頼する必要があります。家族や友人に依頼できない、証人があと1名だけ足りないといった場合には、証人代行を利用する方法もあります。
